■JIRO・2014-KR■ 最高 W424xD456xH818(SH440 )

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■■ 超軽量椅子『スーパーレッジェーラ 』 リ・デザイン考 ■■■■ 1951年・イタリアの建築家、ジオ・ポンティのデザインした 『スーパー・レッジェーラ』超軽量椅子。 学生時代、デンマークの家具デザイナー「ハンス・J・ウェグナー」の 『ブル・ホーンチェアー』を中央線・国立駅前の本屋で立ち読みした 雑誌で見た時、「椅子でこんな表現が出来るのなら、自分もやってみたい」と その場で椅子を人生のテーマに決めました。同じ時期、東京・新宿のデパートで 『スーパー・レッジェーラ』の現物を見た時は、その美しさとその軽さに驚きました。 その数日後に偶然 、大学の図書館で雑誌『室内』NO190でその分解した写真を 見た時は、その座枠の構造に改めて驚きました。 木材という素材をこれ程 細く使っても椅子として問題が無いという事実に興味が湧き、 木の持つ特性の不思議さを感じると共に座枠と脚に同時に荷重を分散させるという、 その細いフレームならではのジョイントの考え方に畏敬の念すら覚えました。 卒業してからも軽量椅子というテーマは、頭から離れず木材の持つ限界強度を知りたくて、 樹種の違いによる物理上の数値の確認と,それらを加工する道中の感触、育ち方による強度の ギャップなどを確認、経験値と計算値を加味しながら形、図面に反映させ、その繰り返しで 現在に至っています。 当初 数年間 荷重を座枠と脚に分散させるジョイント法を考えていましたが、 軽量椅子を考えるに当たり、このジョイント法にこだわると亜流になってしまうと反省し、 一般的な構造で細い脚の椅子の実例はないかと探していたところ 『シェーカー家具』に出会えました。 オーソドックスな構造ですが、時の流れに耐えた形だと思っています。 オーソドックスなジョイント法でも「何とかなる」と思い始めていた頃 、 モデラーの宮本茂紀氏がやはり雑誌『室内』で軽量椅子を発表していました。 座枠のジョイント法はスーパーレッジェーラの座枠の三枚組継の部分を核(さね)を 使ってより作り易くしていました。 見本市でその椅子に座る事が出来ましたが、確かに軽いけれども 背の角度が浅く、道具としては問題が有るように思えました。 その後、何かのパーテイで宮本氏にお会いした時 そのときの感想を率直に伝え 「なぜ 後脚の上部を背の角度をとる為に、曲木とか削り出しにしなかったのか?」と訊ねました。 彼曰く「アオダモは粘りが有るので曲木にすると戻りが怖かった。 削出はバットの端材なので大きな材が手に入らなかった。」と 少し不機嫌な感じで話してくれました。 私としてはデザインを起すにあたり、いくら軽くても座り心地の悪い椅子は 「良・よし」とはしません。しかし宮本氏が避けた事をあえてやる気はしませんでしたが、 選択肢のひとつとして検討はしました。 その時から試作は自分でやる事を前提に、自問自答の日々が続きました。 細いフレームで快適な背の角度を得る為に削出しにすると、どうしても 木目が切れて強度が落ちてしまいます。 曲げ木は設備が面倒だし・・・。色々考えた末 後脚の背の位置で 一度カットしそれを必要な角度で再接合する事を思い付きました。 これは高層ビルの柱の鉄骨は現場で縦方向に繋いでいくという方法からイメージが湧きました。(その頃の木工家具の常識では邪道だったかもしれませんが・・・。) 再接合するにはフィンガージョイント、ダボ、その併用か迷いましたが 自分の持っている道具と技術に合わせ、一番簡単なダボ接合に。 ただし繰返しの荷重を考えると木ダボは怖いので金属ダボにしました。 金属を使う事には大変抵抗が有りましたが、法隆寺でも薬師寺でも 必要な部分には釘を使っている事、釘は刀鍛冶が作るので当時は 高価であった事などを偶然見たTV番組で知りました。 (もし当時 釘が安価であったのなら日本の建築文化は少し変ったかも知れません。) 金属と木を接着できる接着剤がある現代では、ひとつの方法として間違ってはいないのでは・・・と思う事にしました。しかし元々、木に多少のこだわりを持っていた自分と折合いを付けるのに、かなり時間が掛かりました。 一脚目の試作は背板を組み上げるとき、従来の方法でやると背板が華奢な分、 思い掛けない方向に力が加わりジョイント部分が壊れてしまいました。 二脚目はジョイント部分のダボ数を増やし組立て方も背板を押し込むのではなく 引き入れる方法を思い付き、前回の失敗を生かし何とかうまく行きました。1999年の事です。 その後 椅子のコンペに出品したところ入選し、審査員だった 旭川東海大学の織田憲嗣氏より雑誌掲載のお話を戴きました。 『スーパーレッジェーラ』の「リ・デザイン」の系譜の宮本茂樹氏の 次の新しい例として雑誌『室内』NO 545に掲載していただきました。 その後、 ワールドフォトプレス社刊 『椅子の研究・2 』の誌上で『ヤマモト・レッジェーラ 』と命名して戴き、その他の雑誌にも何度か掲載していただきました。 その後、レッジェーラタイプは2005年と2007年に後脚上部を成型合板から削り出し、 それを無垢の後脚下部に接合するやり方で二度リ・デザインを繰り返し 二脚とも 新聞社主催の椅子のデザインコンペで入選させて戴きました。 今 思うと宮本氏は椅子の加工技術に、私は座り心地(道具としての椅子)にこだわったのだと思います。 いずれにしろ軽量椅子で、木の持つ特性の一端を個々が表現できたと思っています。 2007年に4タイプ目の軽量椅子を纏めて以来、これ以上やるとトリッキーなものになると 考え、『レッジェーラ』タイプのリデザインは手掛けていませんでしたが、 2012年中頃より1999年に纏めたモノの脚のバランスに違和感を覚え、4タイプ全体を見直しつつ その後 新たに 6種 試作いたしました。 160411 山元博基

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